【誰にも言えない秘密】
(あっ)
気付いて、走り出す。一緒にいた友人に、適当な言い訳を叫びながら、悪の波動が感じられる所まで。
「変身っぴー!」
邪気に包まれた怪物が暴れている現場につく。お供の謎な、わたあめみたいな生物からもたらされた、これまた謎にきらきらしてハートやリボンのついているアイテムを掲げて、
「変っ身!」
叫ぶと、自分の体が光に包まれ、薄いが体力守備力向上効果のある服に変わる。腕を前に出して、
「光の力で消えろ!」
また叫ぶ。と、手から光弾が出て、怪物は弾けとんだ。と、邪気も消えていく。
「お前っ…」
声に振り返ると、さっきまで一緒にいた友人が、驚きに満ちた顔でこっちを見ていた。ヤバい。
「お前…魔法少女だったのか?男なのに?」
「せめて男なので、魔法少年ってことで」
諦めた。目の前で見られては、秘密も何も無い。
「可愛い衣装で、結構ですねー似合う似合う」
「感想そこ?」
確かにピンクと水色と白の、リボンと膨らんだ袖と、ミニスカートですが。中身は男子ですが。
「だから、秘密にしたかったのにー!」
頭を抱えると、
「君も変身するっぴ?」
謎生物が、友人を見上げていた。やめろ。友人も男だ。
6/5/2024, 11:09:48 PM