目が覚めると、窓の外は夜の闇に包まれていた。
机の上は眠る前のままだったけれど、部屋を見渡すと、彼の荷物が跡形もなくなくなっていた。
まるで、初めからこの家にいなかったみたいだ。
彼の物が無くなっても、まだ微かに部屋には彼の匂いだけが残っていて、それが虚しかった。
腫れた目を擦り、彼がもういない現実をじわじわと受け止める。
朝、おはようと笑い合うことも
行ってらっしゃいと言うことも
おかえりと言うことも
おやすみと言うことも
もうできないんだ。
眠る前のことは全部夢で、目が覚めたら全て無かったことになって、また今まで通り笑い合えたらよかったのにな。
お題『目が覚めると』
7/10/2024, 11:07:27 PM