遠い日の記憶
これはどこかに家族でおでかけしていた日のこと。
確か私は小学生になるかならないかだった。
元より私は方向音痴で(今も)
はぐれないためにしっかりと後ろをついて行っていた。
「見てみて〜お馬さんだよ〜」
とても見たかった。
でも、人が多くて見にくい。
私はそのうちきょろきょろと周りを見た。
皆んなはお馬さんを見てるから少しなら大丈夫と思って。
私の目に飛び込んできたのは
お土産屋さんのペロペロキャンディー。
食べたことがないな。食べてみたいな。
普通の飴よりも大きい!
気になる。……でも、きっと駄目だろう。
私は目線を戻した。
いなかった。すぐ隣にいたはずの家族が。
「あれっ、え?
おかあ、さん?おとーさん?」
はぐれた。この事実だけは理解した。
でも、案内図なんてわからなかったし、
誰かに助けを求めるのも苦手。
とりあえず適当に歩いた。
だんだん怖くなってきて、一生会えない気がして、
走り出した。
泣きそうだった。なんとか途中までこらえた。
でも、方向音痴の勘が当たるわけが無かった。
誰か、助けて欲しかった。
早く、家族の元へ戻りたかった。
怖い。一人じゃ何もできないから怖い。
私はついに泣き出した。それも大声で。
当時、私は大声でしか泣けなかった。
そして、その声は家族の元へ届き、無事合流。
あの迷子になった時の恐怖は今でも覚えてる。
7/17/2024, 12:24:48 PM