無気力

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うちの子猫ちゃんは気性が荒い。
今日は帰るのが遅くなってしまった。
「ただいま、遅くなってごめんよ」
そう言って玄関に入ると、駆け寄ってきて小さな手で叩いてくる。
そんな小さな手で叩いても痛くないよ。自然と笑みが溢れる。

急いで夕飯の準備をする。
その間もずっと僕の周りをウロウロしている。
きっと僕が帰ってきて嬉しいのだろう。
夕飯を前にして様子がおかしい。
どうやらお気に召さないようだ。
しかし、怒りながらもしっかり食べている姿は可愛くてしょうがない。

今日はプレゼントを買いに行っていたから遅くなってしまったのだが、これを渡したらご機嫌は直るかな。
ツンと離れて座っている彼女に新しい首輪のプレゼントをつけてあげる。
「可愛いなぁ、ずっと一緒にいようね」
そう言いながら撫で回す。
ご機嫌は直ったようだ。今日も一緒の布団で眠る。





「あれ?先輩、こんな時間まで大学にいるの珍しいですね」
「ああ、今日は彼女の方が長くてね」
「ちょっと!終わったんだけど!」
「おっと、終わったみたいだ。うちの子猫ちゃんがお呼びだから行くね。君たちも気を付けて帰るんだよ」
「はーい」
「お疲れ様でしたー」

「あの先輩ってイケメンで優しいけど変わってるよね」
「ね、彼女さんのこと子猫ちゃんって呼んでるし」
「いやいや、それだけじゃないのよ。彼女さんを軟禁してるって噂!」
「えー?あの気性の荒い人が軟禁されてるなんて嘘でしょ」
「先輩と付き合い始めてからバイトも辞めたし、先輩以外と話してる様子がないんだって!連絡も繋がんないらしいよ!」
「ええ?何それ。でもブランドの新作ネックレスしてたじゃん、バイトしてないと買えないでしょ」
「先輩がプレゼントしたんじゃない?」
「ええ、いいな!だったら私もあのイケメン先輩に飼われたい!」

『子猫』

11/15/2022, 10:46:53 AM