『もし、晴れたら。』
湿った匂いとよく知る音が聞こえる。
瞼をあげると雨が降っていた。
部活が終わり帰りのバスを待っていた私はいつの間にか寝てしまっていたようだ。
寝ぼけ眼のまま自然な動作でスマホの画面を照らし見る。
「.....十四時」
約一時間ほど寝ていた。
固いベンチで寝ていたからか体の節々が痛い。
体を伸ばすために立ち上がり体を反らす。
陸上部のスラッとしたラインと小さくもない凹凸が強調され、それによって生まれる僅かな隙間からおへそが顔を見せる。
「ッ――ふぅ.....?」
ふと視線があることに気づいた。
「あ、先輩」
『...ご馳走様です』
体を伸ばしたまま固まる私。
気まずい空気を私のお腹が壊した。
ぐぅー。
「先輩、ご馳走様です」
『....はい』
そこから二人は無言のまま雨が上がるのを待つのであった。
8/2/2023, 9:11:43 AM