【カーテン】
幼馴染ってこともあって僕と君は仲が良かった
それこそ周りから茶化されるくらいに…
今日もまた、君と擬似結婚式を行う
白いカーテンがベールの様に君を包む
「ほら、本物のお嫁さんみたいだろ?」
君は少し微笑んで
「本当?いつか本物のお嫁さんにしてね!約束!」
僕も頬を少し緩ませて
「うん、約束!」
でも、いつからか君と話さなくなった
「あんな約束、もう忘れちゃったよな」
君に好きな人ができたらしい…そんな噂を聞いた
「当たり前だよな、あいつ優しいし、可愛いもんな…」
ある時君は僕に相談をしてきた
「私、実は好きな人がいて…
でも、振られたらって思うと怖くて」
「そん時は全力で慰めてやるよ、ほら、行ってこい!」
「ありがとう、
やっぱりあんたに相談して良かったよ!」
「頑張ってこいよ!」
なんて、僕は思ってもいないことを言って…
自分の気持ちは見ないふり
しばらくして君が僕に伝えにきた
「付き合うことになったの!本当にありがとう!」
「おめでとう」
(あぁ、初恋は叶わないって本当なんだな…)
それから月日は流れ、同窓会の知らせがきた
僕は出席の欄に◯をつける
久しぶりに君に会える日…あれから何年経ったかな
会場で君を見つける、君も僕に気づいた様だ
「久しぶり、元気だった?」
「久しぶり、ぼちぼちかな、そっちは?」
「私もぼちぼちかな、そっちは?結婚とかした?」
「独身だよ」
「私も独身なんだ」
「あれ?付き合ってたんじゃなかったけ?」
「あぁ、別れちゃったんだよね」
「そっか」
「ねぇ、この後付き合ってよ」
「良いよ、色々聞きたいし」
なんだか昔に戻ったみたいだった
お互い程よく酔いが回ってきたころ君が言った
「私が告白するって時あったじゃん」
「うん」
「実はさ、あの時あんたのこと好きだったんだよね」
「え!そうだったの」
「うん、あんたのことを諦めたくて
告白しようと思ったんだよね」
「そうだったんだ…
実は俺もお前のこと好きだったんだよな」
「両思いだったんだねw」
「だなw」
「なぁ、俺は今でもお前のこと好きなんだ
…お前は?」
「うん…私もあんたのこと、今でも好きだよ」
「なぁ、覚える?子供の頃、白いカーテンを
ベールの代わりにして擬似結婚式やったの」
「覚えるよ、私をお嫁さんにして〜ってやつでしょ」
「今すぐ結婚とはいかないけどさ、
結婚を前提に付き合って下さい」
「私で良ければ、貰って下さい」
「“お前で”じゃなくて、俺は“お前が”良いの」
「ありがとう、約束守ってくれて」
「お互い様だろ、ありがとう」
そんなやりとりをしていた僕たちも今日…結婚します!
あの時の白いカーテンも
本物の白いベールになって君を包む
純白のドレスを見に纏った君に僕はまた恋をした
10/11/2024, 1:35:59 PM