『何もいらない』
君以外、何もいらない。
むしろ君が僕の全てだった。
「愛してる」
何度その言葉を伝えても、僕の気持ちの全てを表せているとは思えない。
君も僕に気持ちをくれるけれど、きっと僕の気持ちの方が大きい。
それだけは自身を持って言える。
「愛してる、愛してるんだ」
僕の言葉に君は照れて、優しく微笑む。
それだけで良かったのに。
「お願いだから、目を開けて……」
言葉は空しく宙に消えた。
君の瞳はもう開かない。
その口からもう何か言葉を発する事もない。
心臓もリズムを刻まない。
君はもう、いない。
「……君がいないなら、もう何もいらない」
そう、君のいないこの世界なんていらない。
それならもう壊してしまえば良い。
そしてまた違う世界で君を見つけて、また最初からはじめよう。
4/20/2024, 1:15:52 PM