7月18日 終業式
「俺とお前の間に、友情なんてないよ。」
突然そう言い放つ俺に、幼なじみは涙でいっぱいの目を向けた。
『なんで、そんなこと言うんだよ、』
力なく呟いたあと、力いっぱい地面を蹴って、走り去っていく。女とは思えないほど速い足、風に揺れる雅な髪なんて、短髪のお前にはあるはずもない。
7月10日
『あたし、なんで女なんだろ。』
大きな瞳から溢れ出す涙。それをただ、眺めることしか出来なかくて。悔しくて、情けなくて、気付けば俺の頬にも涙が伝っていた。
9月2日 葬式
思ってもみなかった。お前を突き放したあの言葉が、最後の言葉になるなんて。
誰もいない部屋でひとり、お前の遺体にキスをした。
「言ったろ、俺らの間に」
"友情なんてないよ"
短い髪も、女らしからぬ振る舞いも言葉遣いも、全部全部、好きだった。お前が女に生まれたことを悔やんで泣いた、あの日の夜。何も言えなかったのは
お前が女でよかった
そう思う自分がいたから。
9月5日 葬式
7/24/2024, 12:43:05 PM