気にしていないと言ったらウソかもしれない。
両親が亡くなる前よりは起きたことが衝撃過ぎて記憶があいまいだ。
そのせいかしばらくは己の感情をどのように出せばいいかわからず周りを困らせていたと思う。
中にはあまりに気味悪く思ったのであろう、心無い言葉を浴びせてきた者もいる。
子供大人関係なく。
そんな中でも己の何が気に入ったかわからないが兄と慕う義理の妹ができ、君は優しいと言う唯一の友である少年と一緒にいるようになってから心がほんのりと温かくなっていく。
毎日の小さな幸せが積み重なる。
怒り、笑い、悲しみ、笑う。どこに行くにしてもいつも一緒であった。
心情的なせいで味覚も薄くなっていた上、食も細かった俺は三人で作り食べた握り飯を食べた時ぼろりと気付かずに涙をこぼしていた。
あたふたしてる二人を見て漸く俺が泣いていることに気づいた。
涙のせいもあるのか、はっきりと塩辛く感じたのはこの時が初めてで。
暖かくて、両親が死んだときに泣けなかったのが漸く泣けて心の底からほっとした。
夢が覚める前にとは言わない。
少しでも今を感じ生きていこうと慰めるために両側から抱き着いてくる二人を抱きしめながら心が少し埋まるのを感じた。
3/21/2024, 3:04:17 AM