霜月 朔(創作)

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ススキ



怖いほど美しい満月が、
夜の静けさを照らします。

せっかくの月見だからと、
お団子とススキを、
供えた、貴方。

お月見には、月餅や西瓜を、
供えるのでは?
私がそう問い掛けると、
貴方は驚いた顔をしました。

月見も花見もないほど、
遠く、文化も違う、
異国に流れ着き、
ほんの少しだけ、
似た出身の貴方と出会って。

少し似ていて、少し違う。
お互いの故郷の文化が、
どこか不思議で、懐かしくて。

月明かりに映る、
ススキの影が、
寂しげに揺れているのを、
静かに見つめていました。

今、私の隣に貴方がいることは、
儚い奇跡だと感じて。

だから私は、
この夜を、心に刻み、
そっと貴方に寄り添うのです。


11/10/2024, 7:55:39 PM