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"時を結ぶリボン"

姉が車に撥ねられた。
学校の帰り道、突然に制御が効かなくなった車が突っ込んで来た。

目の前での出来事だった。

私を突き飛ばして、姉の周りで弾ける赤を見た。
焦りながら降りてきた運転手を罵ることさえ出来ず、ただ地に伏せて茫然としているだけだった。

体制を崩して地に叩きつけられても
初めて姉に突き飛ばされた衝撃を前にして、思考を放棄するほかなかったからだ

姉がいつも髪につけていた赤いリボン
毎朝、丁寧に結って着飾っている姉を見ていた。

あんな切迫した状況で、私を守る勇気だとか判断ができる姉がこんなペラペラな存在になってしまったのだ。

姉は即死で、若くして亡くなったために周りはバタバタとしていた。

母も父も、もちろん私も突然のことすぎて
涙が出なかった。案外薄情な家族だったらしい。


そんな出来事から数年後。

あれから毎日赤いリボンを髪につけている私は、姉と同い年になって、初めて自覚した。

姉はもう居ないということを

点と点が線になり初めて、私の目から涙が溢れて止まらなかった。

屈託なく笑う姉が好きだった。
些細なことで泣いてしまう姉が可愛かった。
私のことで怒ってくれる姉を愛していた。

姉がいなくなった新鮮な悲しみを思い出すことのできる。赤いリボン、何て都合のいい存在か

溢れ出る感情に身を任せて、私はずっと姉の近くにいた赤いリボンを胸に掻き抱いた。

12/20/2025, 1:34:21 PM