「なんとか言ったらどうなんだよ!?」
君が目の前で声を荒らげる。
両手の拳を固く握りしめ
ブルブルと震わせている。
うつむいた僕からは
君の淡いオレンジ色のスニーカーと
見慣れたジーンズ
そして両手の拳しか見えない。
何も言わず
顔もあげず
ただ ただ だまり続ける僕に
「もういい!おまえとは絶交だ!」
君のスニーカーが踵を返し
僕から遠ざかり
やがて足音も消える。
僕は小さく息を吐き
ゆっくりとあるきだす。
僕は一生謝らない。
それは君に負けたくないからでも
君のほうが悪いわけでもなく
僕が君に赦されたくないから
僕が君に忘れられたくないから
最後までずっと謝らなかった僕のことを
どうか
どうかずっと許さないで
どうか
どうかずっと覚えていて
これは僕の一生のおねがい
すきになってしまって
ごめんね
5/29/2023, 11:01:11 AM