私の当たり前
朝、制服に身をつつんで行きたくもない場所に行く。
よく分からない会話に愛想笑いを浮かべながら、退屈でノートにペンを走らせる。
聞きたくもない悪口に、それとなく相槌をうつ。
友達と言える友達は、こんな場所にはただ1人だっていない。
家に帰ってからは、家事を全て終わらせる。
洗濯物も、食器洗いも、晩御飯の用意も、叔母の介護も、全部全部1人。
私は、ひとりぼっちだ。それが、それが私の当たり前──
だった。
今は変わった。そう、はっきりと言える。
よく分からない話は、ちゃんと分からない、と言えるようになった。そうすれば、どんなものか教えてくれるから。
聞きたくもない悪口が始まりそうになった時は、それとなく理由をつけて離れることができるようになった。
ちゃんと話を聞いて、私も話す。そうすれば、友達と呼べる人ができた。
行きたくなかった場所は、そうして行きたい場所に変わった。
家では、きちんと手伝って欲しいと言えるようになった。
姉にも、弟にも、1人で全てこなすのは辛いと伝えると、手伝ってくれるようになった。
私は、ひとりぼっちじゃなくなった。
この当たり前は、とても大切な人達がくれた。相談に乗ってくれて、褒めてくれて、慰めてくれる。そんな、心の底から優しい人達が教えてくれた。私は、ひとりぼっちではないと。『僕達もいる、君の周りにだって、助けてくれる人がたくさんいるよ。だから、思ったことは声に出して言ってごらん?』と、そう、言ってくれた。
だから今の当たり前がある。
幸せな当たり前をくれたあの大切な人達は、今日も優しく話しかけてくれる。それに、たくさんたくさん、言いたい事、話したかった事を伝える。
今日も明日も、それが変わることはないだろう。
だって
これが、私の当たり前なのだから。
7/9/2024, 10:20:37 AM