雨音に閉じ込められた世界で、君とひとつの傘を分け合った。 傘の柄を握る僕の手の、すぐ真横には君の気配。 かつてないほどの近い距離感に、うるさいほどの心音が雨音と混ざる。 君側に傾けた傘の端から僕の肩へと落ちる雫が、籠もる熱ですぐに蒸発してしまうようだった。 湿気が肌に貼り付いて、こんなにも暑くて、心臓だって張り裂けそうなのに、帰り道が終わらないことを願っている。 息苦しい幸せに満ちる傘の下。 僕は話し出すきっかけを模索中。【相合傘】
6/19/2023, 10:33:38 PM