エッグマン

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 少女はナイフを持って、女の寝室へ向かった。そして静かに入り込み、女の上にまたがる。両手でナイフを力強く握り締め、女の胸めがけて腕を振り上げた。
「あっ」
 振り下ろすまでもう少しというところで、女が目を覚ました。女は状況を飲み込むより先に少女の腕を押さえた。
「何をしてるの!」
「しね」
 少女はまだ諦めず、下へ向かって腕に力を込めた。だが女の方が力があるようで、進まない。
「どうして?」
 女の問いを無視して、少女は包丁を持つ手を離した。包丁が落ちて、女の胸へ向かっていく。
「はっ」
 女は反射的に包丁を掴み、少女を押し倒して包丁を少女の顔の横の毛布に刺した。
「……」
 少女は気が悪そうに目を逸らしている。
「こっちを見なさい。ねぇ」
 語気を強めて叱るように言っても、一向に見ようとはしない。
「もうしない?」
 仕方がないのでそのままの状態で女は聞いた。
「……」
 少女は答えない。
「その後どうするつもりだったの?」
 女は聞いた。
「……」
 考えてなかったという顔をして、斜め右上を見る。その後、女を見て言った。
「キスをして、家を焼く」
 女は目を丸くして、少女を見た。
「……」
「何?」

2/4/2024, 4:37:57 PM