**「滅びの剣に宿る正義」**
ある時代、世界には絶対的な正義を誓った騎士がいた。その名はシリウス。彼は若き頃から誓いを立て、民を守り、悪を討つため剣を取った。その心は純粋で、何よりも正義を信じ、そのために生きてきた。だが、彼の旅路はやがて予想もしなかった闇の中に引き込まれていくことになる。
ある日、彼は奇妙な村にたどり着いた。その村は、貧しさと苦しみが支配する場所だったが、村人たちは笑顔を絶やさず、穏やかに暮らしていた。不思議に思ったシリウスは、村の背後に潜む邪悪な存在を探し出し、打ち倒そうと決意する。
村を調査するうちに、彼は気づく。この村の平和は、村長が邪悪な儀式を用いて得たものであり、その代償として罪もなき者たちが犠牲となっていた。正義の騎士として、シリウスはこの村の平和を崩し、悪を断ち切らねばならないと確信した。
だが、その行動は村全体を破滅に追いやった。村の住人は、シリウスが自分たちの平和を奪ったと憎しみ、彼を悪魔のように罵った。彼は自らの行動が正しかったと信じ続けたが、その後、悪の本質を倒そうとするたびに、周囲の無実の人々が次々と犠牲になっていった。
シリウスは苦しんだ。正義のために悪を討つはずが、彼自身が破壊者となり、犠牲を強いる存在になっていた。しかし、彼は後戻りできなかった。自らの誓いを曲げず、正義の名のもとに悪を追い続けた結果、命が燃え尽きるまで破滅的な道を歩み続けた。
やがてシリウスは「悪しき正義の騎士」として恐れられ、伝説の中では悪そのものとして語り継がれることになる。彼の心にあった正義の炎は、悪の闇と共に消え去り、誰もその純粋な信念を知ることはなかった。
シリウスの最後の言葉は、ただ一言、「正義とは何か?」だった。
9/15/2024, 3:54:59 AM