手を振って角を曲がったところで、反対から来た人とぶつかりそうになる。謝りかけたところで、なじみのある香りに私の「ごめんなさい」は吸い込まれた。
「え、あれ? みいちゃん……?」
「あー、良かったー」
行き違いにならなかったね、と美咲が髪を掻き上げて息を弾ませる。
「迎えに来てくれたの?」
「うん、まあ」
たまには?
「……もう、会えないかと思ってた」
売り言葉に買い言葉みたいな、拙い会話を思い出して私は恥ずかしくなったけど。茶色い短髪はあははと笑い飛ばして、
「かえろっか」
と躊躇なく私の手を掴んだ。
『たまには』
3/5/2026, 1:17:07 PM