yagi

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「もっと知りたい」


美しい君の後ろ姿を追う。
届かないと知っていながらも追うことを止められないのは、君が持つ中毒性と言うやつだろう。
ああ、今日も君はこの道を通ってコンビニに寄りつつ学校へ通い、この時間にこの道で帰るんだね。
ああ、もっと君のこと知りたいな…。

唐突に君がこちらに振り返る。
少し近づき過ぎたかと、電柱の影に隠れる。
君はキョロキョロとあたりを見渡して、いきなりダッシュで家とは別の方向へ走り去ってしまった。
突然の出来事に驚いてつい、君を見失ってしまった。


「はぁ、はぁ……ここまで来れば大丈夫かな…」

挙動不審な人物がひとり後をつけてきていることに気がついた。
きっかけは普段はいない路駐の車だった。
綺麗に手入れされた車はミラーのように自分とその背後を見せてくれた。
物陰に身を寄せながらこちらの様子を伺いつつ歩く人物。
見覚えは無い。
家までの中間地点であたりを見渡すと電柱の影に隠れる奴がいた。

そこからは無我夢中で適当な方向に向かって走った。
走っては振り返って走っては振り返ってを何度も繰り返して、空が完全に闇に包まれたところで、着いてきてないのを確認して帰路に着いた。

「ふぅ、ただいまー」

「おかえり」

奥から知らない声がする。
だって自分は一人暮らしのハズで……

「ごはんできてるよ、―――」

3/12/2024, 1:26:53 PM