規範に縛られた軟弱根性無し

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放課後の教室
そう、誰にも邪魔されないで1人で自由になんでもできる時間。家には自分の部屋が無いので、騒ぐならここしかない(騒ぐと言っても大きな声なんて出さない)。
クラスのやかましい問題児も、陽キャ共もいない。なんでもできる!
だが、眠い。最近文化祭が大変だったからだ。
準備、店番、片付けなどなど。文化祭なんて陽キャのイベントなのに。楽しめもしないイベントに無理矢理参加させられるなんて。
「はぁ…」
そんなことを考えていたらいつのまにか自分の席で寝ていた

机でうずくまったまま目を開けた。
なんか…スンスンって聞こえる。頭の上からか?
「ふへへ…」
笑った?誰が?
確かめるために頭をあげようとした。その瞬間
カプッ!
髪の毛を噛まれた…噛まれた⁈
「うぁあ!」
「ふぎゃあ!」
勢いよく頭を上げたので、噛みついたヤロウは鼻に手を添えながらのけぞった。
「な…なんだ、よお前」
ヤロウは…女だ、はっ⁈女⁈
しかも清楚な奴、ロングストレートの黒髪で整った顔。一体なんだこいつは、ほんとに何やってんだ。
「何…やってんだあんた?」
「えっ、えっ…とぉ、あ…えぇ〜…」
彼女のめっちゃ赤い顔に戸惑っていると、
「ご、ごごごめんななさひ!」
すごい勢いで言われてすっごくびっくりした。脳天から下に一直線に何かでぶち抜かれたような感覚だった。
「えぇ〜っと、何やってんの?」
「ま、ままままって、ムリ…ムリムリ」
「ちょ!落ち着いて、ね?」
なんで落ち着かせようとしてるんだかわからん。本能が助けろって言ってるくらい彼女が動揺していたから?

数分後
「あの、大丈夫?かな?」
「は…はい」
「じゃあ話してくれる?」
「は…い」
話すと言ったのに彼女は何も話さない。空気が…重い。
「あの!」
「ふぁい!」
声がデカすぎてめっちゃびびった。
「けっ!、結婚して…くだ…さ…ぃ」
30秒くらい、何も理解出来なかった。俺の脳内に宇宙よりも理解できないことを押し付けられた。
一方、彼女は自分の最大の失態に苦しみ悶えていた。
「ちっ!違う、ちがうちがうちがう!そ、そうじゃなくてね?あの…その、こ、これは…間違い。そう間違い!違うの!ほ、ほんとはその…お、お付き合いさせてくださいって…いおうと、して…ね?」
などとぶつぶつ言っていた。
30秒してやっと頭がクリアになった。
「言いたいことはわかったけどさ」
「はい…」
「俺はい髪を嗅がれたうえに噛みつかれたんだよ?」
「はい…」
「そんな俺が君と……はぁ…」
正直キレたかった。1人の時間を全て奪ったこの女を。徹底的に打ちのめしたかった。だが、あまりに可哀想なら顔をされて…
「友達からなら…まだいいけど…」
「…っ///」
あの時の彼女の顔が、かわいいのなんの。

朝ベットで目覚めた。隣には妻が穏やかに眠っている。俺の手を握って。
「妻かぁ…ほんとに結婚しちゃったな?」
昨日婚約届を書いて出したばかり。その次の日の朝に出会った日の夢なんて。
俺は妻を目一杯抱きしめて頭を撫でた。
(キスしたいけど、寝起きは流石になぁ…)


久々にちゃんと書いたけど、割とおもんないな

7/10/2024, 11:03:37 AM