川柳えむ

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「生まれ変わって、また会いに来て」
 それは、彼女がした一方的な約束だった。
 大切な家族を失った。それは抗いようのない運命で、それでも受け入れるのは困難だった。
 その家族の命が尽きる瞬間、彼女はただ再び会えることを願った。
 そしてそれから、あなたが迷わないようにと、この地から離れることはなかった。

 時は流れて――。
 地球に起きた大災害の末、人類は滅びてしまった。今や世界は海の底である。
 それでもまだ彼女は待っていた。自分の命が尽きようと、いつかまた会いに来てくれることを信じて。
 水の奥深くから、海面に揺らめく光を見上げる。
 すっかり変わり果ててしまった世界で、やっぱりあなたが迷わないようにと、ずっとそこで待っている。
 もしもまた巡り会えたら、あの頃と同じようにぎゅっと抱き締めてあげよう。――いや、あなたは力強く抱き締められるのを嫌がったから、優しく抱き締めようかな。
 再び巡り会えるまで。そんなことを考えて、薄く届く光に溶けながらゆらゆらと漂い続けている。


『巡り会えたら』

10/3/2023, 10:34:12 PM