【秘密の箱】
※オリキャラの名前が出てきます。
女の子は紗矢で男の子は陽平です!
日付が変わった今、私は二十歳になった。そして陽平と一緒にモミの木の下に来ていた。
「遂に俺ら二十歳になっちゃったな」
「ね、あっという間だった!」
私たちは幼馴染で小学六年生のときに埋めたタイムカプセルを掘り起こしに来たところだ。陽平がタイムカプセルのことを覚えているか不安だったが、覚えていたようだ。
「よし、じゃあ見つけますか」
「おーけー」
私たちはそれぞれシャベルを手にして地面を掘った。すると思ったより早く私たちが埋めたと思われるものが二つ分出てきた。陽平と私の分だろう。
「出てきたね」
「俺誰かに見つかってたらまずかったもの入れてた気が…」
「やば、でもちゃんと見せてよね」
律儀に名前が書いてあったため、お互いの名前が書いてあるものを開けた。私はというと…
「え!懐かしい」
当時好きだったアニメのシールやステッカー、キーホルダーが入っていた。そして手紙も入っていた。
「あはは、二十歳の私へ、彼氏できましたかだって」
陽平の方はどうだろうと目線をやると陽平も同じく片手で手紙を読んでいるところらしい。もう片方の手には何やら小さな箱が。私は手紙の内容が気になり覗き込もうとした。
「うわぁっ!!」
しかし陽平は見せてくれなかった。そんなまずいことなのだろうか。
「見せてよ!」
「………」
陽平は黙ったまま私を見る。少ししたら陽平が持っている手のひらサイズの箱を私に見せた。
「…なにそれ」
「なんだと思う?」
「え…なんだろ。ギザ十とか?」
「そんなもん集めた覚えないわ」
陽平は私に箱をこちらに渡してきた。
「俺がいいよって言うまで開けるなよ」
「…?わかった」
陽平は私に向き直り、手紙を両手に持ち、読み始めた。
「"未来の俺へ、まだ紗矢のことが好きですか?"」
「え」
突然の言葉に頭が真っ白になる。それでも私に構わず読み続ける。
「"俺は未来の俺がまだ紗矢のことを好きだと信じています。結婚はもうしましたか?まだだったら一緒に入ってる箱を紗矢に私てプロポーズしてください。小学六年生の俺より"…だとよ」
読み終えた陽平は私にゆっくり近づいてくる。
「箱、開けていいよ」
そう言われ恐る恐る開けるとそこには小ぶりな指輪が入っていた。
「手紙読んだらこれだよ、びっくりだよね」
小遣い貯めて買ったんだってさ、と陽平は笑いながら続けて言う。
「で、でもまだ好きだったらの話で…」
「馬鹿だね紗矢は」
馬鹿と言われムッとする。陽平は顔をぐいっと近づけて言う。
「俺はこの日を待ってたんだよ。タイムカプセルも、手紙の内容も全部覚えてた。好きじゃなきゃタイムカプセル自体覚えてないよ」
優しく、でも強く。陽平は私のことを抱きしめる。彼の体温と鼓動が直に伝わる。逆に彼にも伝わっているのだろうか。そう思ったら少し恥ずかしい。
「俺の気持ちはずっと変わらなかった。紗矢、好きだよ。結婚を前提に付き合ってくれない?」
私は彼の背中に腕を回した。
10/24/2025, 10:46:55 AM