耳を澄ますと耳を澄ますと、風の音がする山から風が吹きおりる音、海から陸に駆け上る音。鳥の声、人の気配、船の警笛、電車の発車音を織り交ぜながら。それが、家でも学校でも聞こえてくる。いつかは、聞こえなくなるのだろうか。そう思うと寂しくなる。同時に、存外この土地が気に入っているのだと感じて、少々恥ずかしく思うのである。どうやら自分は故郷から離れがたい人間のようだ、と。せめて、居残り続けて「澱んだ」人間にはなりたくないものである。
5/5/2024, 9:50:18 AM