♯雲り つまんない。 と、ブランコに乗って足をぶらつかせながら、その子は小ぶりの唇を尖らせた。 ぼんやりと遠くを見つめるつぶらな瞳は、空の色を映して灰色に濁っている。「ホットケーキも、ソフトクリームも、ふわふわのわたあめも、なんにもないんだもの」 ……ぼくがいるのに、そんなコト言うの? その言葉を、ぼくは胸の中に立ちこめる雲と一緒に押しこめて、「食べものばっかりじゃん」と、明るく笑った。
3/24/2025, 4:57:54 AM