夜歌

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 何年か前の日記を読み返していた。どんなに
忙しい日も、1行だけはと書き続けていたものだ。けれど、ある月のある日。そこだけに存在する空白の出来事は、何も書かれていないからこそ、今でも鮮明に思い出された。
 空白を見つめる瞳は暫し昔日の記憶に支配されて、側からはどこかぼんやりしているように見えたことだろう。ひとたび目を閉じれば時間は再び今へと戻り、寂寥とも旧懐とも言いがたい心地が胸中に渦巻く。確か、ささやかな日々を忘れぬようにと始めた日記だったけれど。今でも楔のように残るのは、綴られなかった──綴れなかった、その日なのだ。


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私の日記帳

8/27/2023, 7:32:08 AM