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コトンコトンと揺れるタクシーの中で外の景色を眺めていた。眩しい夕日に目を細めながら今までの事を振り返っていた。事の発端は一週間前に会社をリストラされた事だった。やってもない言い掛かりをつけられた私はなけなしのお金で奈良まで観光に来ていた。
「お客さん、着きましたよ。」という運転手の声で自分の意識は覚醒した。目を覚ますと見渡す限りの鹿が見えた。タクシーに料金を払って外を出て早速奈良公園へと向かった。奈良公園に居る野生の鹿は人懐っこく鹿せんべいを持った人間に臆する事なく突進してくる。そんな鹿を撫でながら自然の景色を眺めて居ると何故か壮大な気分に陥った。世界では今も泣いたり笑ったりしている人がいて死んでる人や生きている人がいる。各地では戦争があって敵兵の弾に当たって1人の子供の父が死ぬ。そんな目まぐるしく動く地球の中に自分がいる。なのにこんなにも落ち着いてられる。人間って不思議だ。いつか死ぬって分かってるのにその死を受け入れてただひたすらに生き続ける。ありきたりかもしれない。でもそれで良い。ありきたりがこの世界なのだから。私は赤く焼けている夕日を眺めながら呟いた「バカみたい」

この物語はフィクションです
お題バカみたい

3/23/2024, 7:28:35 AM