布団を被っていても貫通してくる冷気が、目覚めた思考を鈍らせる。呼吸する度に肺を満たす冷たい空気が、血流を巡って体を固めていく。起きたくない。この温かな布団に包まって、春の陽気を夢に見たい。誘惑はとても甘美で、現実はとても冷酷だ。そんな朝にも、やがては太陽が昇って、空気を温めてくれることだろう。そうしたら少しは、起きることも苦ではなくなるかもしれない。「お題 凍える朝」#69
11/2/2025, 4:51:07 AM