ある日、宇宙から隕石が落ちてきて、生き物も建物も、何もかもなくなってしまった。
その星を作った神様は、荒れ果てた星を見て大層悲しんだ。
「愛情込めて育ててきた星が、こんな姿になるなんて……」
昨日まで豊かに生命が生きていた星が、今じゃ見る影もない。
また一からやり直すしかない。
失った命の分まで、もっと素敵な星を作ろう。
そう思った神様は、星のお掃除を始めて、少しずつ少しずつ、長い年月をかけて星を作り直す。
崩壊した建物も、倒れた木々たちもブラックホールに捨てる。
神様は、ようやく綺麗になった星に、最後に小さな虹色の種を蒔いて、キラキラ光る水を揚げた。
「素敵な星になりますように」
そう願って、毎日毎日、お世話を続ける。
1000年ほど経って、やっと芽が出た。
「やったー!」と神様は大喜び。
さらに気合を入れて、大切にお世話をする。
さらに3000年経って、ようやく蕾が膨らみ始めた。
「もうすぐ咲きそうだ!」
そう思っていたのに、一向に花は咲かない。
「おかしいな」と神様。
暗い宇宙で毎日お世話を続けたけど、どうしても花は咲かなかった。
「もうダメかもしれない……」
神様がしょぼんと俯いていると、やがて、太陽の遣いがやってきた。
「神様、そんなに落ち込んでどうしたんだい?」
「太陽の遣いくん。実は、新しい星を作ろうと思って花を育てていたんだけど、あと少しのところで咲かないんだ」
太陽の遣いが目をやると、そこには神様と同じように元気のない蕾。
「神様、どうやってお世話をしたんだい?」
「どうって、そりゃあ、毎日水をやって、たくさん愛情を注いだんだよ」
「それだけ?」
「何かまずいのかい?」
「神様、大事なことを忘れているよ」
そう言うと太陽の遣いは得意げに胸を張った。
「花を咲かせるには、太陽の光がなくっちゃ」
「あっ!そういえばそうだったね」
うっかり者の神様。
大事なことを思い出せたみたい。
そうして、太陽の遣いが蕾に陽の光を与えた。
すると蕾はむくむく膨らんで、綺麗な虹色の花が咲いた。
「綺麗だね!」
「あぁ。君のおかげだよ。ありがとう!」
虹色の花が咲くと、そこから自然が広がって、やがて生命が生まれた。
あとは生命たちが頑張る番だからと、神様はお家に帰って行った。
虹色の花から生まれた星は、花がたくさん咲く、温かくて賑やかな星になりましたとさ。
お題『花咲いて』
7/24/2024, 5:13:50 AM