みずくらげ

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『揺れる木陰』

太陽がまっすぐに地面を照らし、街全体を熱が包んでいる。茹だるような暑さに顔をしかめ、重い足を運ぶ人々。
光が葉の隙間からこぼれ落ちて、地面に淡い模様を描いた。ほんの数秒、誰かの歩みが止まる。私は意識を空中にぶら下げて、誰かのつむじを見つめている。彼は今、水面のように揺れる木陰に足を入れた。

枝先をそっと揺らしてやると、光が小さく砕け、まだらになって地面に散らばる。幹の奥まで軽く波打って、葉が笑った。
もう少しだけ風を吹かしてみようか。俯き歩く誰かの目が、ゆらめく木陰を捉える。大きな変化は起こらない。しかし肩がすっと落ちて、足取りが少し軽くなる。動きが緩むその瞬間、確かな手応えを感じるのだ。

彼らにとっての今日が少しでもやわらかくなることを祈り、ただ光と影を編んでいる。

7/17/2025, 11:40:44 AM