相合傘なんて、そんなの恋人がするものだと思ってた。
晴れになっていた天気予報には、どうやら裏切られたらしく、生憎の雨だった。
もちろん傘なんて持ってきていない。
今日に限って委員会で遅くまで残っていたから、仲のいい子なんてみんな帰ってしまっていた。
仕方ないから制服のブレザーを頭に被り、走り出そうとした時だった。
大きな影が私の足元に落ちる。
「それはさすがに風邪ひくよ」
片想いしている彼だった。
嬉しさと同時に、ブレザーを被っているのが恥ずかしくなって、直ぐに頭から取った。
それを見てくすくすと笑っている彼の笑顔もまた、好きだった。
「送ってくよ」
学校から駅までの10分間。
たった10分間だけれど、きっとすぐに過ぎ去ってしまう。だって、君との相合傘なんて、ドキドキしてたまらないから。
お題:相合傘
6/19/2023, 2:46:51 PM