(現パロ)
夜の海に行く。そこの事実だけを切り取るとまるで自殺しに行くみたいな感じがしてくる。でもそんなことは、決してない。ただ海を見に来ただけなのだ。
家からチャリで数分のところに海がある。静かで、オンシーズンの昼でも特に人で賑わってはいない、そんな海。夜は昼にも増して、静かで波の音だけが外に響いている状況だ。
考え事をしたい時は、いつも来ている。明日のテストが憂鬱だとか、誰かのことが好きでたまらないとか、不安や悩みが尽きないとか、なんとなく気分が落ちているとか。
今日来たのは彼についてだった。
ユートピアで演奏者なんて名乗っていた彼。神様だって言ってたから、ボクみたいに人間界に転生することはないかもしれないけれど、それでも記憶にある前世の中で好きだった人のことなんて、全然忘れられるはずがなかった。
そもそも前世と言えるかどうかもよくわからない。生まれ変わったのだか、それともただユートピアから逃れて、人間界に降り立ったのか。
ただ一つ言えるのはどれだけユートピアにいた期間が遠くなってしまったとしても演奏者くんのことは忘れられないし、好きだって気持ちもなくならないってことだけだ。
8/15/2024, 3:40:18 PM