よしだ

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神様へ

神様、あなたがまだおいでなのか、
それとももう人の世に飽いて
とっくに世界を去られているのか、
わたくしにはわかりません。

この世に元から神なぞ存在せぬと、
そう言う人間もおります。

それでも、
この完璧に破綻のない、
知れば知るほど人智を超えていると
感じさせるこの世界の理が、
ただの偶然で生まれたとは
わたくしには到底思えないのです。

わたくしは、神様、あなたが
人を救うような、人間に都合の良い
夢のようなお方だとは思いません。

しかし、あなたがただ、おられると、
あるいは、かつて本当におられたのだと
信じられるだけで幸福だと感じます。

優しく、厳しいこの星で、
きっと、弱い人間が生きる為には
無条件に祈り、縋ることが許される
強く尊い存在が必要でした。

今、だんだんと人々が
あなたのゆりかごから
巣立ちの時を迎えようとしていることを
ひしひしと感じます。

これまでの時を、
祈ることを許してくださったこと。
縋ることを許してくださったこと。
そしてなにより、
その存在を信じさせてくださったことに
わたくしは感謝いたします。

そして、もし傲慢にもひとつ、
願うことを許してくださるのならば、
どうかあと少しだけ、
わたくしたち人間が
ひとりで歩けるようになるまで、
わたくしたちを御見守りください。

■■より

「神様へ」

4/14/2024, 12:38:37 PM