月風穂

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【未来への鍵】

玄関の扉の鍵が開いている。
実家に帰省する度に気になるのだ。
「なんでいつも鍵あけてんの?無用心でしょ。」
「うちには盗られるものなんてないからね。」
そう豪語する親だが、さすがに夜は鍵を閉める。
そんな親は休日でもご近所さんと仲良くしている。
ご近所さんも日中は玄関が開いているらしい。
いつも楽しそうにしている。

思えば私は何にでも鍵をかけたがった。
自分の部屋。
大切な物が入った宝箱。
踏み入れられたくない私の心の扉。
親であれ、友だちであれ、私には私しか入れない心の部屋がある。
実家の玄関のように開け放すことはできない。
オートロックだからである。
鍵は私しか持っていない。
ほんとうは誰かに開けてほしいのだ。
土足じゃなく、靴下で部屋に上がってくれればそれでいい。スリッパ持ってきてくれれば最高。

そんな私に心からの親友などできるのだろうか。
笑いあう人たちをみると、いつも心の扉が開いている人のように見えて羨ましい。
だから親はご近所さんとも仲が良いのか、と腑に落ちる。
玄関の扉が開いているのは誰をも受け入れるからなのかと。
心の許容度が生活に染み出ているのだ。

私の心の扉に合う鍵を持っているのは誰ですか?
私の心の扉を開けてくれる人を探しています。
私の人生が豊かになる未来への鍵を。

1/10/2025, 12:17:31 PM