思い出の青ジャージ

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僕は笑った。

君は間違えた。

たったそれだけだったのに、赤らんだ頬と
少し青がかった瞳が忘れられない。

 数学の授業中に空を見ていたんです。
まさに上の空って感じで、面白いことなんか何にもなくて。
 そしたら隣の子がとんとんって。
右肩に感じる左手の人差し指に動揺して、僕はなにが起こったのか、脳みそが処理できなかったんです。
後で気づいたんですが、先生が僕を当ててたらしいんだけど
その子はあーあと言わんばかりにこっちをみてくる。
 「じゃあ代わりに高橋」
その子の顔は自信に満ちて、回答を述べました。
「いやそこは...」
 ころっと彼女の表情が変わった瞬間、
なぜか笑っちゃって、失礼だと気づいて君の様子を伺うと
恥ずかしそうにほおが赤くなっていました。
 お互いに気づいてくすくす笑って。

深い意味なんてないけど、君の瞳につられて
今年の春は青がかってきました。

6/29/2025, 11:30:07 AM