灰燼

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高い、高い真っ青な空から二人の人間が落ちていく。絶望的と思われる状況だが二人の表情は晴れやかで希望さえ抱いているようだった。

「ねぇ!ほんとに現れたよ!」
「あははっ!だから言ったじゃん!」

この世界には、様々な条件が揃った時にだけ現れる別世界へと人間を連れて行ってくれる巨大な鯨が存在する、という言い伝えがあった。
互いにこの世界で居場所を無くした二人はその言い伝えを信じてこの瞬間を待ち続けていた。そして。

「あの鯨が連れてってくれるんでしょ!」
「そう!絶対に手を離さないでね!」

ぐんぐんと鯨に近づいていく。鯨が空を見上げ大きな口を開き二人を呑み込んだ瞬間、風が吹き上がり二人の意識は闇に消えた。

6/28/2024, 9:02:56 AM