菜な子

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何も特別なことなんてない、
何もおかしなことなんてない。
傍から見たらきっとそう。
なのに不思議だ。
私には、とりとめのない話だなんて思えない。
その証拠に、私はずっと覚えている。

とりとめのない話の中の、
なんの変哲もない仕草にも、
私はときめきを見つけた。

ふと緩められた口許がいとおしい、
緩めた唇から零れる言葉がうつくしい、と。

あなたにとっては、
ただのとりとめのない話 だったかもしれないけれど、
私はずっと覚えている。
私は全部、覚えている。

あなたから湧き出るその話は、
到底、「とりとめのない話」になんて
できないほどに、
いとおしさもうつくしさも、全部混ざって、
何か複雑な形となる。
私の心にずんと据えられる。

私の礎となる。

それが、私は時々怖くなる。
あなたにとってのとりとめのない話は
私にとって特別で特別で仕方の無い話であることが。
私とあなたの見える世界の違いが。

私はあなたと一緒に生きられる?
同じ世界で、同じ物事を見られる?

できる気がしなかった。

だから、私はあなたともっとお話がしたい。
私の世界を知って。
あなたの世界を教えて。

あなたの特別な話に埋もれたい。
埋もれて埋もれて、
特別だなんて言えなくなるほどに
その特別な話を積み重ねて、
どうにかあなたととりとめのない話がしたい。


あなたととりとめのない話がしたいの。
だから、一緒にとりとめのない話をしましょう。











「とりとめのない話」

12/17/2023, 10:20:03 AM