押し寄せてくる現実を必死に薙ぎ払って、ヨロヨロと足を踏み出す。なんとか少しでも先へ進む。そうしていないと暗闇で振り落とされてしまうから。
あの頃の私は日々全力過ぎた。過労で命を落とすなんてホント馬鹿らしい。真っ暗に思える中にも、そう見えない場所でも、消えない灯りは確かにある。今ならはっきりそう分かるのに。
順番を知らせる番号が入れ替わる。虹色にきらめく透明なカウンターの向こうで、サテンを纏ったみたいな女性が微笑む。穏やかな気持ちで私は歩き出す。新しい人生へ。
『消えない灯り』
12/7/2025, 8:00:23 AM