『落ち葉の道』
かしゃかしゃ、ぱりぱり。歩くたびにそんな音が響く。広漠とした並木道は、閑散としていて、静か。僕は君と歩幅を合わせながらゆっくり歩く。君は薄白く濁った息を優しく吐いて、口元をマフラーにしまうように俯いた。
君は何も喋ってくれなかった。ずっと足元を、何層にも重なった落ち葉を眺めては、踏み鳴らしていく。それは破滅的でありながら、神秘的だった。赤や黄、茶色、夕日のようなグラデーションなど、地面は秋そのものを描きだしていた。
君はそれを、踏み鳴らして、ぱりぱりっと、奏でていた。
時たま、君は立ち止まる。すると僕も呼応して立ち止まるものだから、世界からは音が居なくなって。君の呼吸、僕の呼吸、布の擦れる音とか、落ち葉の揺れる音とか。僕らの周りだけが、世界のすべてのような感覚になる。君の足音が消えただけで、僕の感じる世界は大きく変わってしまうのだ。君は言葉を発しない。だからこそ、足音がとても大きく聞こえる。君の心臓の鼓動も、吐息も、全部足音に掻き消されて。最早、君という存在は落ち葉を踏み鳴らす足音で構成させてるような。そんな気までしてしまったのだ。
僕は君と落ち葉の道を歩くのが好きなんだ。
11/25/2025, 5:37:41 PM