「どうだ?寒いの忘れるくらい綺麗だろ?」
やけに上機嫌な父に連れられ、近くにある山に行った。
「いや…普通に寒いけど…」
カチカチ震えながら私は空を見上げる。
「わあ〜綺麗〜」
思わず口からこぼれる。
「そうだろ?すごいだろ?」
父はなぜか自分の事を自慢するような言い方をする。
今日は雲が全くない晴れ。しかも、新月のお陰でほかの明かりに邪魔されないので無数の星が光っていた。
「あれがオリオン座だ。そしてあれが…」
そこまで言われても、全くわかんないんだけど。
「今日はここで寝るか?」
しばらくした後父は車の後ろからテントを取り出した。
「風邪引かないかな?」
「大丈夫。いろいろあったかいのは持ってきた」
本当に大丈夫なのかな…
「そうだ、カップ麺食うか?」
何でそんなに物入れてるのかよくわからないけど、私は断る理由のないので食べることにした。
「美味しい」
いつも一緒のカップ麺なのに、またひと味感じがする。
「外で食うのもたまにはいいだろ?」
すでにスープまで飲み干していた父はとても満足気に笑った。
食べ終わり、あったかい寝袋や、毛布などを用意し
寝る体勢に入った。
「このテントすごい!星が見える!」
大興奮の私の目はキラキラしてんじゃないかな。
「またこれたらいいな」
そう言って、私たちは深い眠りについた。
それからは、何度かいき私も大人になった。
「お父さん、今度いつ行けるかな?」
「さあな、退院できたらな」
お父さんはいきなり倒れてしまった。
「お父さんなら大丈夫よ」
「ならいいが」
そう笑って私の頭を撫でた。
しかし、お父さんはもう退院できなかった。
数年前の12月末、私は初めてあんな綺麗な星を見た。
言葉を失うほどの輝きを放っていた。
そして、父は星が好きだった。
だか、何年か経ち父も弱ってしまった。
しばらくした、夜。
父は天国へ旅立ってしまった。
64歳で亡くなってしまった。
早いよ。
外はもう真っ暗だった。
あの日とおなじ新月だった。
涙が止まらない。目を覚ましてよ。
死亡確認の後、許可を得て病院の屋上へあがる。
あの山程ではないが、星が一斉に輝きを放つ。
「あれがオリオン座…」
何回も聞いたオリオン座。
色々な星座があるなかで、一番好きだった。
また、父が一番好きだった星座でもあった。
今頃父は、何をしているのだろうか
天国でも星をみてるのかな。
星に包まれ旅立った父はどこか嬉しそうな顔をしていたのかもしれない。
ありがとう。お父さん。
今も私の好きなことです。
12/30/2025, 3:12:56 PM