太陽の下で
「絶対に だめだよ!
日の光を浴びたら
貴方は・・・」
そんな 仲間の制止を
振り切って 私は
あの人に
会いに行った。
あの人との 最期の 逢瀬を
重ねる為に
あの人と 会うのは、いつも冬だった
人気の 無いしんと静まった夜だった。
だけど貴方が・・・
「木漏れ日の下で 日向ぼっこすると
気持ちいいんだ!!
君と 草の暖かさを感じて
寝転べたら 幸せだろうな!」
そんな風に 太陽みたいに笑うから
太陽に 焦がれるみたいに
手を伸ばしたくなった。
だから 貴方が望むなら
叶えてみたいと
貴方と暖かさを感じてみたいと
思う様になったんだ
貴方は、私が 頑なに冬にしか
会えないと 言ったら
理由も聞かずに その通りにしてくれたね
だから私も 貴方の 願いを
叶えたくなったんだ。
君の姿が見えて 私は、思いっ切り
手を振る。
君は、嬉しそうに 私の傍に寄り
手を繋いだ。
私は、君の手を取り
「ピクニック日和だね!
お弁当を作って来たよ」
と 笑い合った。
公園の 芝生に寝転がり
私は初めて 太陽の光を浴びた。
これが 暖かいと言う事なんだと
胸の中に 何かの灯りがポッと
灯った。
お昼になり
私は 初めて自分で 手作りした
お弁当を 貴方の前に広げる
ドキドキ 緊張したけど
貴方の顔を盗み見ると
「とっても美味しいよ!」と
顔を綻ばせた。
帰り際になり 私は
貴方に キスをねだった。
普段 私はこんな事はしない
こんな恥ずかしい事
自分の口から言うのは凄く
躊躇われるけど・・・
私は、どうしても 貴方の
温もりを覚えて居たかった。
貴方は、最初 戸惑い 沈黙したけど
最後は 頬を染めて はにかんで
私の唇に自分の唇を合わせてくれたね
貴方は、啄む様に軽く触れるだけだったけど 私は、名残惜しくて 貴方の頭を
引き寄せ 深く 深く キスを重ねた。
舌を絡ませ 熱く 熱くなる程に
そうして、お互い 一歩引き
貴方は、「じゃあまたね!」と手を振って
私に 笑顔を見せて去って行った。
私は、それを 見えなくなるまで
見送って そうして 自分の手を
見上げた。
「そろそろ時間ね・・・」
私の手は、透明化していた。
それが 全身に回るのも
もうすぐだろう・・・
私は 幸せだった。
急に居なくなった私を
貴方は、責めるかもしれないけど・・・
それでも私は、幸せだった。
貴方との最期のキスを思い出す。
熱く 熱く溶ける様な
このまま溶けてしまっても良い様な・・・
そんな 甘い一時を 私は過ごした。
だからこの一時を絶対に太陽のせいになんかしない
私を蕩けさせるのは、貴方
貴方のキスで私の全身は
蕩けるの
だから・・・
私が溶けて亡くなるのは、
貴方のキスのせい!!
そうして 私の全身は、溶けて無くなった
世界一 幸せな 雪の精の恋物語
それは、語り継がれ
世界中に広まり
皆の憧れの的になる事を
本人は、知らない・・・
11/26/2023, 4:02:21 AM