せ な

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「わぁっ!ぴょんちゃん〜〜〜!!♡」

目を輝かせる末の妹と、

「やったーー!」

真ん中の妹。

そんな微笑ましい会話を端で聞くわたし。



「あれ?はるちゃんのはないの??」

と、末の妹。

「中学生になったらもうなくなるん?」

と、真ん中の妹。

「うん、まぁ。」

曖昧な返事しか返せないわたし。



“サンタさん”の存在を、お母さんに教えて貰うまで、私は“サンタさん”の存在を本当に信じていた。

心の底から。

だが、小学校6年生の頃、真実を伝えられた。

『サンタさんは居なくて、親がプレゼントを置いている。』

(これはあくまでわたしの家での話であって、全家庭が、とは言いきれない為、サンタさんは親だなんて思わないようにして欲しい。)

びっくりして、わたしは言葉が出なかった。



それから月日は流れ、中学生になった。

もうサンタさんの正体の話は頭の片隅に追いやられるくらい、私の生活は充実していた。

そんな中訪れた12月。

「あき、お任せがいいんだって」

「…え?」

何を言われているのか、初めは分からなかった。

「クリスマスプレゼント。でも、ぴょんちゃんの腕時計がいいんだって。」

「…嗚呼、そうなんだ。」

漸く理解した頃には、もう話がだいぶ進んでいた。

「これとこれ、どっちがいいと思う?」

「こっちの方が可愛い。」

「やっぱり?」

私の中では、サンタさんは親ではないとまだ信じていた。

否、信じようとしていた。

それすら呆気なく砕け散った。




そして今、クリスマスの朝のこと。

(家ではイブの日の夜にプレゼントが届く。)

プレゼントを貰い喜ぶ2人を尻目に、わたしは何も感じてません、とでも言うかのような顔をしていた。

わたしだけ、プレゼントが貰えないんだ

分かっていた筈なのにそう感じている自分が居ることを知って、嗚呼、わたしはまだ信じていたんだなと思った。





「晴乃。(ハルノ)」

「なぁに、お母さん。」

妹たちが2階に遊びに行った頃、お母さんは私を呼んだ。

「いつもお姉ちゃんしてくれてるし、勉強と部活、大変そうだけど、がんばってたから。」

そう言ってお母さんは私に小さな箱をくれた。

「…ありがとう、」

驚きで口がふさがらない。

「開けてもいい?」

「もちろん」

嬉しさと驚きが入り交じった顔で、私は箱の蓋に手をかけた。

────── パカッ

「…!」

箱の中には、ネックレスが入っていた。

私は途端、笑顔になる。

そして、母を見上げた。

「メリークリスマス、晴乃」

母はにこりと笑い返してくれた。





# プレゼント #5

12/23/2024, 10:31:24 AM