過ぎた日を想う。
あなたが初めて声を掛けてくれた、学校での帰り道。
同じ趣味を持っているのだと分かって、ぐっと距離が縮まった。
何度か季節が移り変わったある日、教室で想いを告げてくれた。
夕日のせいなのか、それとも、あなたの顔が熱を持っていたのか。今となっては思い出せないけど、“かわいい”と思った。
何回目かのお家デートで、どちらからともなく唇を寄せた。
ファーストキスはレモンの味、なんてどこかで聞いたような気がするけれど。チョコレートのように甘かったのを覚えてる。
些細なことで喧嘩をしてしまった、あなたが出て行ったドアを呆然と見詰めた。
どんどんヒートアップして、本当は思ってもいないことまで口走ってしまった。明日、たくさん謝ろう。そして、仲直りのデートをしよう。
額縁の平たい面から、こちらへ笑いかけるあなたの頬を撫でた。
あれからもう、何年も経ったというのに、自分の心はあなたから離れられないでいる。
あの時、遠慮なんてしないで、すぐに謝りに行っていれば。こんな気持ちはしないで済んだだろう。もうどうしようもないことなのに、懲りないわたしは、何度も考え、何度も違う未来を思い描いていた。
今日もわたしは、わたしの大好きな、あなたの笑顔を探している。
10/6/2023, 5:08:59 PM