夢の断片
学生時代地図を眺めるのが好きだった。
大きくなったら世界を周る仕事に就きたいと。
結局日々生きるのに精一杯でそれどころではなかった。
海に潜る仕事に憧れて問い合わせたら土地の者ではないからと断られた。
今なら色んな選択肢があり、
情報もあるけど自分が若い頃は無知なだけだった。
考えてみたらあまり泳げなかった。
小さい頃からの夢を思い出してみると、自分の家の縁側に孫たちに囲まれ夫婦年老いていく事だった。
自分には自分の家というものがなかった。
家族も居なかった。
かろうじてケンカばかりの私達夫婦が子供を叩きながら育てたことのみだ。
子供達はそれぞれ自分の心と向き合い折り合いをつけ親を乗り越え、それぞれの家庭を持った。
そして子供を産み育て家を持ち立派な大人に成長していたのだ。
それは私達親のおかげでもなんでもなく…こんな親を持ってもこんなにちゃんと自立できたのだと証明してくれたのだ。
そんな私達でもなんとか自分達の家を持ち、沢山の孫達に囲まれている
変わらないのは今だにケンカばかりだということだ。
それでも今まで叶えられない夢ばかりだったけど、最後の最後に1番難しいと思っていた夢が叶えられたのは奇跡としか思えない。
誰に感謝すればいいのか…
若い頃の自分に、笑うことも夢をみることも忘れ、必死にもがいていたあの時の自分に伝えたい。
今通り過ぎていく夢の断片に初雪が積もっていく。
11/22/2025, 7:34:44 AM