やぎ

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────あの子は可哀想な子なんだ。

みんながそう呟く

────だから、優しくしてあげなさい

私は、『可哀想』なんだろうか?
生まれてこの方、この身体でずっと生きてきた。
辛いこともあるけど、それが当たり前で・・・
自分を可哀想な奴だと思ったことはないのに・・・

「どうしてあの子が可哀想なの?」

誰かがそう言った。

────あの子は身体が弱いんだ。

そうだ、すぐに生きが切れて、苦しくて動けなくなる。
それでも同情なんてされたくなくて必死に虚勢を張ってきた。

「あの子は可哀想なんかじゃないよ?」

いつかのあの子がそう言った。

「だって、いつも笑顔だもん!わたしもね!あの子と一緒だと楽しいよ?みんなとなにも変わらないよ!」

いつかのあの子が無邪気に笑った。
あの子の前でだけは、私は『可哀想な子』なんかじゃなかった。

2/20/2023, 3:31:39 PM