糸花

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『日常』

これまでも食料品、日用品を買うのに来てるスーパーですが、あなたと来るのは初めてになりますね。

どちらがカゴを持つかで、一瞬、間ができた。

今晩は何にしますか? 頭に浮かんだそれは、台詞みたいだった。

ぎこちないまま、買い物は終わった。

そのまま、三件ほど過ぎたところにあるケーキ屋へ立ち寄る。扉を開けて、続けて入って来ないあなたに、ハッとしました。

「すみません……買い物の帰り道にあるんで、妻と食後のデザートねって買って帰ってたんです」
「謝らないでください。奥様の好きなケーキはどれですか?」

バケツをひっくり返した雨、もう少し迎えに行くのが早かったら、事故を避けられたかもしれないのに。
雨が降ると、あの時の場所へ行き、手を合わせた。
ずぶ濡れの、おかしな私に、傘をさしてくれたのは今隣にいるあなたでした。

「奥様から託されたんですかね? 夫を支えてほしいって」
「慣れるまで、相当かかそうです。すみません……」
「あたしと二人の生活って考えなくて大丈夫ですから〜」

妻は物静かな人でした。なんにでも笑っていましたが、あなた自身が嬉しいことを私はしたかった。
ケーキを買うなんて子どもみたいな扱いだろうか、そう思いながらも買って帰った。

どこのケーキ屋さんか、そこから静かではありましたが、会話は続き、いつからか日常になった。

あなたも、妻と同じでなんにでも笑う。
ひとつ違うなら、よく喋る人だ。
あなた自身が嬉しいことはなんでしょうか。
いつか日常になればと考えてますので、今後もよろしくお願い致します。

6/22/2024, 11:12:50 PM