つつも

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【美しい】

あるところに1匹の小さな働き蟻がいました。毎日列を作ってせっせと食べ物を運びます。今日も食べ物を運んで働いていました。
すると突然、強い風邪が吹き始めます。その時、一匹の蟻が風邪で飛ばされてしまいました。

「どうしよう、みんなとはぐれちゃった」
一匹はぐれてしまった蟻は不安になってしまいます。するとどこからか声が聞こえてきました。
「困ってるみたいだけど、どうしたの?」
周りを見渡してみましたが、誰もいません。
「ここだよ」
見ると、アスファルトに小さな花が咲いていました。
「風に飛ばされちゃってはぐれちゃったの。疲れちゃったしお腹も空いた」
それは大変だ、と花は言いました。
「僕の蜜を飲むといい。それにどうやら雨が降るみたいだ。雨宿りして疲れを取りなよ」
蟻は花の言葉に甘えます。しばらくしないうちに、花の言った通り雨が降り始めました。蟻は花の陰に隠れ、雨が止むのを待ちました。
「お花くん、君は平気かい?」
「大丈夫さ、雨は僕らにとって恵なんだ」
それから二人は楽しく色んな話をしました。
「僕はずっとここにいるからいつも寂しかったんだ。変な言い方だけど、今日蟻くんに会えてよかったよ」
「そうだったんだ。僕もお花くんに会えてよかったよ。ねえ、もし良かったら僕ら友達にならないかい?」
「本当に?それは嬉しいなぁ」
その時、ちょうど雨が上がりました。どうやら通り雨だったようです。

「雨が上がったみたいだ。蟻くん、僕を見てご覧」
花についた雨雫には、小さくてきれいな虹が掛かっていました。
「きれい、空が僕たちをお祝いしてくれてるみたい」
お互いに不思議な友達ができた二人は、小さく笑い合いました。

1/16/2024, 12:53:38 PM