「さようなら!!」
友達の元気な別れの挨拶が、どうしてか今日は特別に胸に響いた。遠ざかっていく小さな背中を追いかけたくなる。声を掛けようとしても言葉にならず、じわりと目に涙が滲んだ。
別に何かあったわけじゃない。
いつもこんな気持ちになっているわけじゃない。
ただ、今日は行ってほしくなかった。
そんな日もあるということだ。
気持ちをグッと抑えて、帰路へ戻ろうとしたその時だった。
何かが勢いよく私の背中にぶつかる。
思わず振り返ると、そこには笑顔でこちらを見上げる、私の友達がいた。
「え、どうしたの?」
平静を装うとも、声がひっくり返る。
「別に〜!今日は家まで付いてこうかなって!」
「どうして?」
「うーーん…そんな気分だから!」
えへへ!と友達は笑って、私の手を握った。
あたたかい。
あたたかいなぁ。
溢れそうな涙を堪えて、私はその小さな手を握り返した。
12/19/2024, 12:28:03 PM