パパが言ってた。
虹の向こうには、天国があるって。
パパは、死んじゃった。
事故だったらしい。突然だった。
毎日、パパの胸に抱かれて寝ていた。僕の茶色い毛を優しく撫でてくれる大きな手が大好きだった。
パパが死んでから、僕は施設に預けられた。
他の子たちに囲まれて新しい飼い主を待っている。
でも、僕はパパを待っているんだ。
他の誰かじゃなくて、毎日遊んでくれて、抱いて寝てくれるあのパパを。僕は犬だから、言葉は喋れないけど、パパは…パパは僕の言葉をちゃんと理解してくれていたんだ。
パパに会いたい。
そう思ったら、施設の高い塀を僕は飛び越えていた。
施設の人の声が後ろから聞こえる。
でも、立ち止まらない。
全力で走った。
雨が少し降っている。晴れているのに、雨だ。
雨の日には、パパは僕に服を着せてくれた。
でも、今日は服はない。直接冷たい雨が、背中の毛に当たって、じわじわと皮膚まで冷えていった。
ふと、空を見上げる。
遠くに光る七色の橋。
あの橋を渡って、向こうまで行けば、
パパに会えるかもしれない。
僕は駆けていく。
虹のはじまりを探して。
7/28/2025, 12:53:57 PM