箱推し
「うちは箱推しのファンが多い。これを意識すべきだ」
リーダー格がそう切り出すと、同意するメンバーたち。
「やはり服装に共通点を持たせたり、同じポーズをしたり。チーム一丸となった姿が望ましいだろう」
やはり、同意するメンバーたち。
「そうと決まれば早速準備だ。きみはこっち、きみはもうちょっと前で。ベルトに共通点を持たせるために……これだろうな。私がここで……よし、決まったな」
そろそろ本番が始まるだろう。一同は気合いを入れ、暗い『控え室』でその時を待った。
「クリスマスプレゼントって、これ?」
少年が指差した枕元には、包装紙に包まれた箱。
「開けてごらん」
両親に勧められるがままにラッピングを解くと、箱の中から少年が好きなヒーロー集団のフィギュアセットが現れた。
皆で決めポーズを取り、同じデザインの変身ベルトを装着したその姿が、今の少年には他の何よりも格好よく見えた。
「作戦成功のようだな、レッド」
「声が大きいぞイエロー」
箱推しの少年への長いようで短いファンサービスが、今始まった。
12/23/2024, 3:22:36 PM