手紙の行方
最近の方はきっと知らないでしょう。
その昔、学校の中では定期的に「不幸の手紙」なるものが蔓延したものでした。
「この手紙を受け取った人は、同じ内容の手紙を1週間以内に10人に送らないと不幸になります」
と言った文面のそれは、今見てみれば大層くだらないシロモノですが、子どもの恐怖心や虚栄心、ちょっとした悪戯心や自己愛精神、集団心理などを巧みに突いたもので、中々放置は出来ない仕組みになっておりました。
これを最初に思いついた人は、悔しいですが優れたアイデアマンだと認めざるを得ないでしょう。
私がこの類の手紙を受け取った後にどうしたかはよく覚えていません。しかしこの不幸の手紙は思わぬ形で再び私たちの手元へと飛び込んでくるのです。
こちらもお若い方はご存知ないでしょう。
チェーンメールというやつです。そう不幸の手紙のメール版です。
宛名を書かなければ誰から来たのかわからない手紙と違い、メールは送り主が丸わかりなのでそこまで拡散しないだろう、と思うでしょう?結構みんな拡散したのです。人はそういう生き物なのです。
さて時は流れて令和の現在。通信手段はメールからLINE、もしくはSNSへとめまぐるしく変化を遂げてきましたが、あの不幸の手紙はどうなったのでしょうか?
少なくとも私が見聞きすることはなくなりした。
私自身が随分と大人になったこともあり、さすがにその類の情報を嬉々として回す友人はおりませんから、一見消滅したかのように見えています。
しかし私が見えない場所にあるだけで、きっとあの文化は生き続けているのではないかと思うのです。文化……いえ、長い長い昭和から平成にかけて受け継がれてきた歴史がありますから、それはもはや呪いと呼ばれることもあるのかも。
現在においての不幸の手紙はどのような文面、どのような形になったのか、少し気になるような、わざわざ知るまでもないような。
その程度の、それでも確実に存在した、怪しげな手紙の行方。
もし見かけた方がいらっしゃったら、ご一報いただきたいものです。
2/18/2025, 11:27:11 AM