ナクラ

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「星って、色んな色があるじゃん?」
コンクールの日。緊張していた私に、先輩はそう話し始めた。
「色、ですか?」
「そう、色。例えば…シリウスは青かったり、ペテルギウスは赤かったり。そりゃもう、色とりどり。」
それがピアノの演奏に何の意味があるのか?疑問符を浮かべる私に気づいたのか、先輩は慌てた様子で口を開いた。
「あー、だから、なんて話じゃないんだけどさ。彼女の演奏の方が君の演奏より評価されるものであっても、君は君らしい音楽を弾いてくれれば良いんだ。ピアノの音には、星の色にだって負けないくらいの音色の数がある。どうか君の色を、弾いて欲しい。」
「…はい。」

アナウンスが終わった。私のパフォーマンスが始まる。
私の色なんて、さっきの今で見つけられだ訳じゃないけど、やれるだけやってみよう。
あの人が信じてくれた様に、先輩が言ってくれたように、
気張らず、私の音を響かせよう。

1/8/2026, 2:24:49 PM